ITIL 4のサービスバリューシステム(SVS):組織が価値を創出するための全体的なモデル

ITIL 4のサービスバリューシステム(SVS)は、組織がサービスを通じて価値を共創するための包括的なモデルです。SVSは、ITIL 4の中心的な概念のひとつで、組織が効果的にサービスマネジメントを行い、継続的な価値の創出と改善を実現するための枠組みです。


🔷 SVS(サービスバリューシステム)の概要

SVSは以下の5つの主要なコンポーネントから構成されています:


1. ガバナンス(Governance)

  • 組織がどのように意思決定を行い、方向性を定め、方針を策定し、責任を持って業務を監督するかを定義します。
  • 組織のすべての活動が、ビジネス目標や戦略と一致していることを保証します。

2. サービスバリューチェーン(Service Value Chain)

  • サービスの設計、提供、継続的な改善のためのオペレーションモデルの中心です。
  • 6つの活動があります:
    1. 計画(Plan)
    2. 改善(Improve)
    3. エンゲージ(Engage)
    4. 設計と移行(Design & Transition)
    5. 取得/構築(Obtain/Build)
    6. 提供とサポート(Deliver & Support)
  • これらの活動を組み合わせることで、リソースが製品とサービスに変換され、ステークホルダーに価値が提供されます。

3. プラクティス(Practices)

  • ITIL 4では「プロセス」ではなく「プラクティス(実践)」という用語を使います。
  • 組織が活動を遂行し、目標を達成するためのリソースのセット。
  • 全部で34のプラクティスがあり、例えば:
    • インシデント管理
    • サービス要求管理
    • 変更管理(変更コントロール)
    • 継続的改善
    • サービスポートフォリオ管理 など

4. 継続的改善(Continual Improvement)

  • 組織のあらゆるレベルで、サービス、プラクティス、製品、関係性を継続的に見直し、改善していく仕組み。
  • PDCA(Plan-Do-Check-Act)モデルや改善モデル(ITILの7ステップモデルなど)に基づく。

5. ガイドラインの原則(Guiding Principles)

  • 意思決定や行動に一貫性をもたらすベストプラクティス的な思考指針
  • 7つの原則があります:
    1. 価値に焦点を当てる
    2. 現在の状況から始める
    3. フィードバックを得ながら進化させる
    4. 協力し可視化する
    5. 全体的に考える
    6. シンプルに保つ、実用的にする
    7. 最適化し自動化する

🔄 SVSの目的

SVSの目的は、組織内のすべての構成要素と活動が統一された方向で機能し、価値の共創に貢献できるようにすることです。


💡 まとめ図(イメージ):

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  │ Guiding      │
  │ Principles   │
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│ Governance   │
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│ Service Value Chain  │
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         │
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│ Practices    │
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┌──────────────┐
│ Continual    │
│ Improvement  │
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